遺産分割Q&A

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遺産分割の流れについて教えてください

A 遺言がある場合

原則として、遺言の内容に従って遺産が承継されます。
たとえば、「すべての財産を妻に相続させる」という内容の遺言があれば、他の相続人がどれだけたくさんいても、これに異論を唱える人が何人いても、被相続人の奥さんはすべての遺産を承継することができます。もっとも、この場合、遺留分の問題は残ります。

また、「妻が住んでいるマンションは妻に相続させる。」という内容の遺言があり、その他の預貯金などについては、遺言にかかれていない場合、マンション以外の遺産については、遺産分割協議をして、遺産の承継方法を奥さんを含めた相続人の間で話し合う必要があります。遺産分割協議については、以下の遺言がない場合を参照ください。

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B 遺言がない場合

相続人全員で話し合い、遺産の承継方法を決めます。相続人全員が納得しなければ、遺産分割協議は成立しません。

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・話し合いがまとまらなかった場合【調停】

話し合いがまとまらないと被相続人の預貯金を解約したり被相続人名義の不動産を売却することはいつまで経ってもできません。

この場合は、遺産分割の調停を家庭裁判所に申立てます。遺産分割調停も、基本は話し合いですが、調停員が間にはいることで法律的に整理された話し合いをすることが期待出来ます。

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・調停でも話し合いがまとまらない場合【審判】

感情的な対立が激しいと、調停でも話し合いがまとまらないことがあります。この場合、調停は不成立となり、審判手続に移行します。審判になりますと、裁判所がこれまでの話し合いを踏まえて、分割内容を決定します。

なお、審判に対しては、不服を申し立てることも出来ます。これを、即時抗告といいます。即時抗告をすると、事件が高等裁判所に移され、高等裁判所が改めて審判内容の適性について審議し、判断を下してくれます。

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遺産分割協議をしたいのですが、相続人がそれぞれ遠方に住んでおり、
一度に全員集まることが難しい場合、どうすればよいでしょうか。

遺産分割協議は、遺産の承継方法を相続人間で話し合い決めることですが、協議が整ったあかつきには、銀行預金を解約したり、不動産を登記したりする必要があります。これらの手続のためには、それに必要な書類を用意する必要があります。

直接、相続人全員が一堂に会して、分割方法を話し合い、必要な書類への取り付けや署名捺印をすることができれば、効率的です。

しかし、時間と労力はかかるかもしれませんが、相続人の中の1人が遺産分割案を作成して、それを修正しながら遺産分割の内容を決め、それに必要な書類を各相続人から郵送の方法で取り付けるという方法をとれば、直接集まらずとも、遺産分割協議を完了させることは出来ます。

ただ、上記の作業を相続人の誰かが負担するのは大変ですし、書類に不備があれば、取り付け直しとなってしまいます。このような場合は、弁護士に依頼して、遺産分割協議を完了させた方が無用な紛争を防ぐためにもよいかもしれません。

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遺産としては自宅の土地(1500万円の価値)と建物(500万円の価値)
しかありません。どのように分割したらよいでしょうか。

不動産という現実に分割しづらいもの土地と建物で1セットという状況ですので、大変悩ましい状況です。

この場合のとられる最も多い分割方法は、相続人の1人が自宅を単独で相続し、他の相続人に代償金を支払う方法です(代償分割)

たとえば、相続人が①配偶者と②子という場合、配偶者が自宅不動産を単独相続して、子に自分の財産から1000万円を支払う方法です。

この場合の懸念点としては、代償金を支払う人に代償金を支払う資力があるか問題になるという点です。

代償金を払うだけの資力がないという場合や誰も自宅を欲しがらないというような場合、自宅を売却して現金化して分けるという方法(換価分割)があります。

この場合の懸念点としては、自宅が売れるまで遺産分割が決着しないので、なかなか売れないといつまでたっても遺産分割が終わらないということになります。

代償分割も換価分割も出来そうにないということになると、とりあえず法定相続分にしたがった持分割合での共有というかたちで相続するということになります(共有分割)共有状態は他の共有者の同意がないと売却できなかったりと何かと他の相続人の意向を気にしなければならないので紛争の種になりがちです。なるべく共有分割は避けたいですが、そうする意外、どうしようもないということもあります。

他に、現物分割という方法があり、原則的な方法ではあるのですが、1セットの自宅不動産しかないとなると、現物分割というのは非現実的となってしまいます(家と土地を真っ二つに切り分けることはできませんので)。

土地だけという場合であれば、分筆という方法によって1枚の土地を2つに分けて現物分割するということも考えられます。もっとも、土地家屋調査士の関与のもと地積測量図を作成したり、隣地との境界が確定したりしなければならず、そのための費用がかかります。また、分筆により土地の評価が下がる可能性もあります。分筆という選択には慎重な検討が必要です。

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遺産分割調停を起こしたいのですが、どこの裁判所になりますか。

相手方住所地の家庭裁判所または当事者が合意で認める家庭裁判所です。

そのため、他の相続人が遠方に住んでいる場合、遠方の家庭裁判所に申立をしないといけないのです。この場合、原則、申立先の家庭裁判所に出頭しなければなりませんが、申立人の住所地の家庭裁判所で電話会議をさせてくれることもあります。

弁護士がついている場合には、弁護士事務所と家庭裁判所をつないでの電話会議となります。

⑤腹違いの兄弟がいますが、この場合の相続はどうなりますか。

この腹違いの兄弟の父が被相続人となった場合、どちらも子として相続人となります。

①再婚相手となる配偶者②先妻の子である兄③再婚相手の子である弟が相続人となる場合、

①配偶者の法定相続分は2分の1、②兄の法定相続分は4分の1、③弟の法定相続分は4分の1となります。

このような場合、先妻の子である兄は、幼いころに父とは生き別れになっており、ほとんど交流がないということがあります。それでも、法定相続分は、兄と弟で同一です。兄と弟でそれぞれ言い分がありますので、感情的な対立が激化しがちな類型といえます。

遺産分割が無効になる場合はありますか。

下記のような場合に、遺産分割が無効になります。また、場合によっては、遺産分割を無効にすることも可能です。

相続人でない者が参加していた遺産分割協議

遺産分割協議には、相続人しか参加することができません。

遺産分割協議書に相続人でない者(相続欠格等によって後に相続資格が失われた者も含む。)の氏名が記載されているなど、分割協議に第三者が加わっていた場合には、その分割協議は無効となります。

相続人の一部が参加していなかった場合

遺産分割協議には、すべての相続人が参加していることが必要です。

1人でも相続人が参加していなければ、その協議はやはり無効となります。(ただし、相続開始後に認知された者がいる場合には、その被認知者を除外してしまったときでも協議は無効とならず、後に金銭的に調整することは可能とされています。)

民法上の法律行為の無効に当たる場合

民法上、法律行為・意思表示の無効事由がある場合も、それぞれの規定に従って遺産分割協議は無効となります。

たとえば、相続人に意思能力がない者がいた場合協議内容等が強行法規または公序良俗に違反する場合その他の民法の規定(心裡留保・通謀虚偽表示)に該当する場合には、遺産分割協議は無効となります。

民法上の法律行為の取消事由がある場合

上記の無効事由がある場合と同じように、民法上の法律行為・意思表示の取消事由がある場合には、遺産分割協議について取消しの意思表示をすることができます。

たとえば、相続人の一部が未成年者で法定代理人がいなかった場合、遺産分割協議において錯誤、詐欺や強迫があった場合などです。

遺産分割協議の解除

遺産分割協議については、相続人全員の合意があれば、協議を解除することができます。解除された場合には、遡及的に協議が無効となります。

大昔に亡くなった方の遺産分割をしていなかったのですが、
今からでも可能でしょうか。

遺産分割は、死後何年経過していても,相続人は遺産分割を行うことが可能です。

実際、父の遺産分割協議をして自宅の相続をしようとしたら、土地の名義が祖父のままだったので、まずは祖父の遺産分割協議からしなければならないということがあります。

このように、相続開始から時間がたてばたつほど相続人の範囲が広がり,全く交流がない人たちと遺産分割協議をしなければならないという事態になりがちです。

また、被相続人の通帳など相続財産の証拠が散逸してしまうことが多いので,早めに遺産分割を行うことをオススメします。

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前妻の子にも相続権があると聞いたのですが、詳しく教えてください。

離婚して、親権を前妻が持っていたとしても、あなたの子であることには変わりがありませんので、前妻に子にも、後妻の子と同じように相続する権利があります。

①後妻②前妻の子③後妻の子が相続人となる場合、

①後妻の法定相続分は2分の1、②前妻の子の法定相続分は4分の1、③後妻の子の法定相続分は4分の1となります。

もし、法定相続分に従わない相続を希望されるのであれば遺言を作成しておく必要があります。この場合には、遺留分に注意しなければなりません。

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