特別受益と寄与分

特別受益と寄与分について解説

遺産分割協議が揉めてしまう典型的なケースとして、特別受益と寄与分の問題があります。

特別受益と寄与分について知らないと、損をする可能性がありますので、基本的な事項を抑えておきましょう。

 

特別受益とは?

特別受益とは、特定の相続人が受けた一定の生前贈与や遺贈をいいます。特別受益を考慮せずに、生前贈与や遺贈を受けた相続人が他の相続人と同じ相続分を受け取るとすれば不公平となってしまいます。

そこで、民法は、共同相続人の缶の公平を図ることを目的に、特別受益を相続財産の前渡しとみて、相続分を算定することとしています。

の中の特定の相続人が、被相続人から生前に受けた特別な利益のことを言います。

例えば、以下のような場合ですが、他の相続人からすると、不公平な遺産分割ということになってしまいます。

・相続人の1人が、生前に被相続人に自宅を買ってもらった

・相続人の1人が、生前に被相続人から、自宅の建築資金を出してもらった

・相続人の1人が、生前に被相続人から、生活費の援助を受けていた

・被相続人の預金口座から、多額の使途不明金が支出されており、相続人の誰かが受け取った可能性がある

 

特別受益者の相続分は、原則以下の計算式で計算されます。

『(相続開始時の財産+特別受益分)×法定相続分-特別受益分』

 

寄与分とは?

寄与分とは、被相続人の財産形成または維持に特別の寄与をした者に、法定相続分以上の財産を取得させ、実質的な公平を図る制度です。

例えば、以下のような場合です。

 

・親の家業に従事して財産を増やした

・親の介護をして介護費用の支出を抑えた

 

なお、これまでは、相続人のみに寄与分が認められていましたが、平成30年度の法改正によって、相続人以外の親族も「特別寄与者」として認められるようになりました。

近年は、多種多様な家族構成が増え、血縁関係にない親族が、介護をするといったケースもあるため、そういった実態に合わせた法改正と言えるでしょう。

ただし、特別寄与者として認められるのは、あくまでも親族のみですので、赤の他人やヘルパーなどはこれに該当しません。

 

特別受益と寄与分のお悩みは弁護士へご相談を

特別受益と寄与分に関しては、複雑な事実認定と計算を要します。

そのため、相続人間で協議をしても、埒が明かず、かえって混乱を招くことが多いので、自分達だけで判断をすることは避けた方が良いでしょう。

 

残念ながら、協議がこじれた後でやっと相談に来る方が多いですが、後々の親族関係に影響がないよう、早い段階で弁護士にご相談することをおすすめします。

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