自宅不動産を取得したいけれど、多額の代償金を払いきれない。
遺産の大部分を自宅不動産が占めている場合、遺産の中で分配を調整することができず、自宅不動産を取得する相続人が、自己資金から代償金を支払わなければならないケースが発生します。
自宅不動産の価値が高い場合には、支払うべき代償金の額も高額になります。代償金を支払えない場合には、自宅不動産を取得できないということになってしまいます。
そのため、まずは、適正な不動産の評価を行うことが肝要です。次に、どのように代償金を準備するかを検討しなければなりません。金融機関と相談して、相続する予定の自宅不動産を担保にした借入れるというのが一般的な方策となります。また、他の相続人の同意が必要になりますが、代償金の支払を一括ではなく、分割払いとすることもあります。
また、自宅不動産を取得した理由が「住む場所を確保したい」ということであれば、親族・知人や業者に自宅不動産を買い取ってもらい、不動産購入者から自宅不動産を賃借する方法も検討することになります。
そのほか、被相続人の配偶者が自宅に居住を継続したいときは、自宅不動産自体は他の相続人に取得してもらい、「配偶者居住権」(夫婦の一方が亡くなった場合に、残された配偶者が、亡くなった人が所有していた建物に、亡くなるまで又は一定の期間、無償で居住することができる権利)を取得することも検討することになります。
なお、まだ相続が発生する前の段階であれば、相続人に負担をかけないため、相続発生の前に準備しておくことが極めて重要です。相続発生前に、被相続人を契約者・保険料負担者・被保険者とし、 不動産を取得する予定の相続人を死亡保険金の受取人とした生命保険を活用するなど、生前に代償金の準備をしておくべきです。