不動産ではなく代償金を取得したいが、実家の跡取りとなった長男が代償金を払うだけの金銭を持っていない。
代償金の支払いを受けない間は、「長男が実家を単独取得することに同意しない」という対応をとることになります。
ただし、その間も、長男は実家に住み続けることができますので、ご自分が動かない限り、事態の進展は期待できません。
遺産分割協議がまとまらない場合には、家庭裁判所に遺産分割調停の申立てをすることになりますが、調停で話し合っても長男がお金を準備しない(又はできない)場合、調停は不成立となり、審判手続に移行します。
そして、審判手続において、家庭裁判所に換価分割の審判(遺産である不動産の競売を命じる審判)を出してもらいます。なお、遺産である不動産が被相続人と長男との共有となっているような場合には、遺産を共有とする審判を出してもらったうえで、改めて地方裁判所に対して共有物分割訴訟を提起し、それでも長男がお金を準備しない(又はできない)ときは競売となり、競売代金を共有割合で分配することになります。
競売での処分は、時価よりも安く処分される結果になることが多く、また、解決までの時間がかかり、弁護士費用の負担も大きくなるなど、相続人全員にとって不利な処分方法といえます。
そのため、実家の跡取りとなった長男に対し、代償金を準備しないと競売によって不動産を売却することになること,競売になると受け取れる金額が少なくなることなどを説明して、代償金を準備する方法(金融機関や不動産担保ローンなどで代償金を準備するなど)を検討する必要があります。また、代償金が準備できない場合でも、不動産を競売するのではなく,相続人全員の同意のもと,任意に売却を進める内容で調停を成立させるように話をすすめることが得策だと思われます。