遺産分割の調停と審判
遺産分割調停が必要?まずは弁護士に相談を
遺産分割において、争いごとは付き物。
近しい親族だからといって、遺産分割の問題がスムーズに解決するとは限りません。
遺産分割協議が進展しない場合
特に遺産分割協議が進展しないのは、以下のような場合です。
・相続人同士が自分の主張ばかりで、どうしても遺産分割協議がまとまらない
・話合いが堂々めぐりで一向に進まない
・客観的かつ法律的な観点での協議ができてない
・相続人の誰かが、話し合いにすら応じてくれない
これらのように、どうしても相続人同士での協議が難しい場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申立てるといった解決方法があります。
しかし、調停ともなると、長期戦になりますし、精神的にも大きな負担となるのは、言うまでもありません。そのため、調停に発展させるかどうかの判断は、慎重でなくてはならないのです。
調停を申し立てるべきか、協議を続けるべきか、自身で判断するのが難しい場合は、専門家である弁護士に相談されてみてはいかがでしょうか。
また、遺産分割協議においては、逆に、他の相続人から調停を申し立てられることも、当然考えられます。
しかし、いきなり調停を申し立てられたら、どんな人でも戸惑ってしまうもの。
そのような場合にも、適切な判断ができるよう、ぜひ専門家である弁護士にご相談ください。
調停や審判とはどんなもの?
では、遺産分割調停とは、具体的にどのようなものなのでしょうか。
ここでは、遺産分割調停と審判について、説明したいと思います。
遺産分割調停とは
遺産分割調停とは、家庭裁判所に所属する調停委員を交えながら、遺産分割の協議を進めていく場です。
裁判と勘違いされやすいですが、あくまでも調停は話し合いの場であり、みんなが納得しあえる答えを導き出すことが最大の目的です。
遺産分割調停を開くためには、相続人の1人又は複数人が、家庭裁判所に対して申し立てを行います。調停は月1回程度行われ、調停での協議がまとまったら、調停調書に記載された協議内容に基づいて相続の処理が行われます。
なお、調停委員は仲介者としての立場から、遺産分割協議がスムーズに進展するようなアドバイスをくれます。
遺産分割調停を有利に進めるためのポイント遺産分割調停を有利に進めるためには、いかにして、仲介者である調停委員を納得させるかが非常に重要です。従って、適切な証拠を用い、論理的な主張を組み立てた上で、調停に臨まなければなりません。
論理的な主張というのは、当然、審判に移行することを想定した内容である必要があります。
ご自身だけで判断されると、「自分が有利だと思っていた主張が、実は不利な結果を導いてしまった」、「客観的な立場から物事を考えられていなかった」、と後悔することも少なくないため、少しでも疑問点がある時は、弁護士に事前にアドバイスを受けるか、代理人として、調停に出席してもらう方が良いでしょう。
また、調停の相手方が弁護士に代理人を依頼した場合には、「プロ対素人」の構図になってしまい、不利になってしまう場合が多いと思われます。
そんな状況を想定しても、ご本人も弁護士に依頼することをお勧めます。
審判とは
遺産分割の調停が不調に終わった場合は、自動的に審判手続きへと移行することになります。
審判では、調停委員ではなく、裁判官が、双方の主張を聞いたうえで、審判を下しますが、この内容に不服がある場合は、2週間以内に抗告しなくてはなりません。
遺産分割の調停や審判でお悩みの時は弁護士に相談を
遺産分割の調停や審判に慣れている方は、ほとんどいらっしゃいません。法律の知識を要する場面も多く、何が自分に適しているのか判断するのは、大変難しいといえるでしょう。
将来的に後悔しないように、遺産分割について、少しでも不明な点や不安なことがありましたら、一人で悩まずに弁護士にご相談してみてはいかがでしょうか。