事業承継

中小企業・個人事業主のための事業承継税制 相続・贈与時の負担が大幅減~先代経営者と後継者の要件にも注目~

中小企業の経営者や個人事業主にとって「事業承継」は、家族、役員、従業員にも影響を及ぼす大きな問題ですが「税金関係がどうなるのか想像もつかない」という方も多いのではないでしょうか。近年、法人版事業承継税制の大幅改正が行われ、税金面の負担が大きく軽減される道が開かれました。さらに平成31年度税制改正には個人事業主の事業承継をサポートする新制度の創設も盛り込まれています。制度改正の主なポイントについて解説します。

 

そもそも事業承継税制とは?

中小企業向けの事業承継税制とは、中小企業の非上場株式を先代経営者から後継者へ相続・贈与する際に税金が猶予・免除される制度です。制度自体は平成21年度税制改正からありましたが、制度の内容が複雑であることなどを理由にこれまであまり活用されてきませんでした。そこで平成30年度の税制改正ではこれが大幅に見直され、制度適用のハードルがぐっと下がったのです。

 

では、具体的にどんな点が変わったのでしょうか?注目すべき3つの点を解説します。

 

納税猶予対象株式と納税猶予割合

1つ目は、「納税猶予対象株式」と「納税猶予割合」です。納税が猶予となる株式の範囲は、改正前は発行済議決権株式総数の3分の2まででしたが、改正後は対象株式数の上限が撤廃されて、全ての株式が猶予対象となっています。

 

併せて、納税猶予額についても改正がありました。改正前の猶予額は株式に係る税金の80%とされていました。先程の納税猶予対象株式の要件と併せて考えると、改正前の納税猶予の対象は「株式総数の3分の2」×「納税猶予割合80%」となり、実際には53%程度しか猶予されていなかったので、後継者に重い納税負担がかかることがありました。これに対し、改正後は納税猶予割合が100%に拡大され、後継者の承継時の負担はゼロになったのです(贈与税は改正前・改正後とも全額猶予)。

 

先代経営者と後継者の要件

2つ目は、先代経営者と後継者の要件です。改正前は「先代経営者1人から後継者1人へ」という株式承継のみを対象としていましたが、改正後は先代経営者も後継者も複数人に広がりました(後継者は最大で3人まで)。より多様な承継の形に対応できるようになったのです。

 

例えば、先代経営者である父親と、会社の代表者以外の株主がそれぞれ所有していた株式を、先代経営者の息子1人がまとめて承継する、ということが可能になりました。また、先代経営者である父親から息子2人が承継することも可能です。

 

雇用維持要件

3つ目は、雇用維持要件が緩和されたことです。改正前は、贈与が行われた後の5年間の雇用者数平均が8割に届かなかった場合は、猶予された税額を全額納付する必要がありました。しかし、常に不足で悩まされている中小企業にとって雇用の維持は大きな負担であり、この要件があることで後継者には高額納税のリスクが生じ、積極的な制度の活用を妨げる一因となっていたのです。しかし、改正後は8割に届かなかった場合でも猶予が継続されることになり、雇用維持要件は事実上の撤廃となりました。

 

納税額が全額猶予されるための条件

このように改正された事業承継税制は、10年間限定の特例措置となっています。納税額の全額猶予などの適用を受けたい場合は、制度開始の平成30年4月から5年以内に特例承継計画の策定・提出を行う必要があります。

 

個人事業主の事業承継

ここまで紹介したのは中小企業が対象の「法人版事業承継税制」であり、個人事業主は対象外でした。そこで平成31年度税制改正では個人事業主のスムーズな事業承継を後押しする「個人版事業承継税制」が新たに創設されます。

 

この制度は、個人事業主(不動産貸付業は除く)の後継者が事業を承継する際の納税額を全額猶予するものです。制度の対象となるのは、事業を行うために必要な「特定事業用資産」です。例えば、不動産(土地400㎡まで、建物800㎡まで)、機械・器具備品(工作機械、パワーショベル、診療機器など)、車両・運搬具、生物(乳牛、果樹など)、無形償却資産(特許権など)、といった幅広い種類の資産がこれにあてはまります。一方、事業用の預金、借入金、売掛金、未払い金などは制度の対象となりません。

 

個人版事業承継税制も、法人版と同じく10年間の時限措置となっています。制度を活用して税金の全額猶予を受けたい場合は、平成31年4月から5年以内に特例承継計画の策定・提出を行う必要があります。また、この制度を利用する場合は「特定事業用宅地等に係る小規模宅地等の特例」を同時に適用することはできなくなります。

 

中小企業も個人事業も経営者の高齢化が進んでいます。納得のいく事業承継を円滑に行うには、今回紹介した事業承継事業承継税制を含む様々なスキームをしっかり比較・検討することが大切です。そのためには早めの着手が肝心です「何から始めればいいのかわからない」という方は、事業承継に強い弁護士に気軽にご相談ください。

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