寄与分が問題になる場合
公平な財産分与を目的とした寄与分
寄与分とは、相続人の中で、財産を相続する人(被相続人)の財産形成または維持に特別の寄与をした者に、法定相続分以上の財産を取得させ、実質的な公平を図る制度です。
その例として典型的なのは、以下の場合です。
・被相続人である親の家業に従事して、財産を増やした
・被相続人である夫の事業に、妻が無償で従事していた
・親の介護をして介護費用の支出を抑えた
寄与分の計算方法は、ケースバイケースですが、例えば、①被相続人の遺産が1億円②相続人が2人兄弟③兄が家業を手伝って、被相続人の財産形成に2000万円の寄与があったとすると、
見なし遺産 = 遺産:1億円-2000万円(兄の寄与分) = 8000万円
兄の相続分:8000万円 × 1/2 + 2000万円 = 6000万円
弟の相続分:8000万円 × 1/2 = 4000万円
となります。
もちろん、こんなに分かりやすく計算できることはごく稀で、本来であれば、さらに複雑な事実認定・計算が必要となることは言うまでもありません。
相続人以外もなれる?特別寄与者とは
なお、これまでは、相続人のみに寄与分が認められていましたが、平成30年度の法改正によって、相続人以外の親族も「特別寄与者」として認められるようになりました。
近年は、多種多様な家族構成が増え、血縁関係にない親族が、介護をするといったケースもあるため、そういった実態に合わせた法改正と言えるでしょう。
ただし、特別寄与者として認められるのは、あくまでも親族のみですので、赤の他人やヘルパーなどはこれに該当しません。
寄与分で不明な点があれば弁護士へご相談ください
どのような場合に寄与分が認められるのかは、大変難しい判断となりますので、納得出来ない点やご不安な点がある方も多いのではないでしょうか。
寄与分を請求する方もされた方も、遠慮せずに弁護士へご相談ください。
遺産相続は、時として相続人同士の長期的な協議になりやすいものです。専門家として、調停・訴訟を見据えたアドバイスをさせていただきます。